女心と秋の空という言葉があるように、人の気持ちはコロコロと変わりやすい。

それは私とて例外ではない。

日曜の朝に目覚めた私は、開口1番「そうだ 中京、行こう。」とJR東海のようなキャッチコピーを口にし、服を着替えて早速難波まで足を進めたのであった。

JRは誇る新幹線を使えば1時間足らずで名古屋に着くのであったが、交通費に貴重な資金を使いたくない私は金券ショップに売っている近鉄の券を購入し、大阪難波から2時間の小旅行へと出掛けたのである。



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大阪中心部の都会風景から気付いた時にはのどかな田園風景が眼下に広がっていた。

こんな田舎で白いワンピースの女の子とひと夏の淡い恋が出来ればいいなと思いながらも、こんないい年していたらそんな事すら叶わないような所まで来てしまったなと自分自身に言葉を投げかけている内に田園風景は何処かに行き、見慣れたようなビル群の都会の風景が現れてきた。


名古屋に到着したのである。

 
名古屋に到着してまずは基本として私のような見窄らしいオッサンを目で探した。

ギャンブル場に行く人間は不思議と服装と雰囲気で分かるものである。
類が友を呼ぶようにギャンブラーはギャンブラーを惹きつけるとでも言うべきなのか、前を歩いてるオッサンに付いて行くと目的地に着くというのが北海道でも関東でも九州でもあったのである。


しかし、私が出発した時間が遅く、到着した時には昼だったので、そのような人が見当たらず仕方ないので地図を頼りに名鉄の駅行き、電車に乗り込んだ。
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電車に乗り込んでいた私に待っていたのは名古屋の熱い洗礼…セミであった。

いつものように扉側で立って最寄り駅まで向かおうとしてたのであったそこにはセミが横たわっており、そこには立てない…
渋々、目的地まで席に座り、不安と期待を背にして電車は発車していった。


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道中特に面白い事も無く、なんてことなく中京競馬場へ到着したのであった。

この日は幸運な事に入場無料デーだったので財布から出した200円を再び財布に戻してから門をくぐったのである。

そうして場内に入り、まずはこの暑すぎる炎天下から脱したので冷たいお茶を探しに場内に入ってまず目に入ったので驚いた。
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この炎天下の中で温かいお茶しか出てこないJRAに若干苛立ちながらまたしても名古屋の熱い洗礼を浴びたわけであった。



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中京競馬場は意外とこじんまりしており、コースと観客席が近いのが魅力である。

主戦場の阪神や京都ならば場内を探索するだけで1日仕事になるだろうけど、1時間経たずにすべてを周り終えてしまったのである。


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途端に暇になってしまったのでふとパドックを見る事にした私の前に現れたのはレース前の興奮からだろうか馬っ気を出して勃起している馬だった。

馬っ気を出しているのは興奮して体力を消費するので買うのには敬遠するものであるが、それが印象に残ってこの馬の単勝を買ってしまったのである。
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…という訳で、その11番の馬が1着となり単勝が的中した。

勃起馬券として馬券術を磨こうと思ったのだが、このようなものは書くと長くなってしまうので割愛しておこうと思う。


こうしてメインレースの中京記念に臨むもハンデ戦らしく見当違いな結果となってしまってメインレースだけでその日のプラス分がすべて吹っ飛んでしまった…


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レース後は馬場開放が行われて馬場を歩きまわって自分が馬になったかのように直線走ったのだが、如何せん体力のない社会人なので途中で息切れしてしまう始末…夏もそうだから少し体力をつけないといけないなと思いながら競馬場を後にして名古屋に戻り、帰りの近鉄電車に飛び乗った。




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夕日が傾き、少しずつ暗くなっていく木曽川を見ながら帰路に着く。
弾丸小旅行だったが、こうして帰りというものはどの旅行でも少し寂しいものだ…

周りから缶飲料を開ける音が次々と封を切ったように鳴っている。
周りは出張帰りのサラリーマンが多く、これから週の始めが来るので少しでもアルコールを飲んで休みたいという所だろう。

サラリーマン同様、身体が資本の私なので、帰りのこの2時間を睡眠にあてる事にし、気付いた時には大阪難波に到着していたので、目覚めると文字通り現実に戻ってきたのであった…




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現実に戻ってきても手にしたものは思い出となる。
こういうものを押入れに閉まってある日見つけた時、あの頃中京競馬場へ行って帰ってきたなという昔の事を思い出せれたら良いかと思ったのであった。。。

こうして中京競馬場小旅行を終わりたいと思う。



購入金額 16,400円 払戻金額 13,700円 -2,700円